頭の中には彼女が映り――

実際の網膜にも、彼女が映っている。

そう、彼女はすぐそこにいた。

だれもいないと思っていた教室の出入り口、あの凛とした姿勢で、悠と肘を抱いて。

(み、三つ目を見られた……見られた……!)

驚き慌てながら手をひたいにやり、三つ目を隠すが、

「なにを、いまさら」

彼女は口角をく、く、とつり上げ――笑った、ようだった。

その笑みは、窓から差し込む斜陽に照らされ、明暗の彫りがはっきりしていた。

すっと通った鼻筋が、なめらかに窪んだ眼窩が、可憐な唇が、表情に影を落とす。

綺麗すぎて、恐ろしい。