だから彼女はこれから先も、昇華を続けていくんだ。

ああ、なんてことだろう。

一二三さんにとって、化け物じみたその天使の火さえ、まだ『未完成』でしかないんだ。

 エン
「炎!!」

「ちっ!」

突き上げられた拳の先から、豪風と呼ぶには熱すぎる一波が放たれる。

まるで、炎の大砲。

全身全霊をかけて振り下ろした爪だからこそ、ようやく引き裂くことができる。

おそらく、彼女らの血の中に取り込まれた時点で、天使の火は不純物になったんだろう。

『神の火』という意味を持つのがウリエルだったと思うから、もしもその力に混じりけがなければ、ボクの爪程度、一瞬で溶解されている。

だからこれは、ウリエルの火を起源にした、あくまでも鬼の力……文字通り、鬼火なんだ。

「っはあああああ!!」

上から下まで、炎を唐竹割りにしながら、一二三さんを目指す。

その冷淡な表情に、ボクの爪牙を突き立てなければならない。

賢一のためにも。