† 第十六節



すさまじい轟音が、僕のいく先、頭上から響いてきている。

たぶん本当は、ここまで衝撃が伝わってきてもおかしくないだろうに、音だけが。

よくは知らないけど、結界は中と外を隔絶するものだと思う。

だから、音だけですんでいるんだろう。

そう、音。

それが、今僕を束縛せしめる、すべて。

彼女の鈴が――ちりん――僕の鈴が――ちりん――ともに鳴る。

それは共鳴。同調。

その度に、僕の体も重くなる。

囚人が手枷足枷をかけられるように、鉄球を背負わされるように、重くなる。

背骨が、ギィギィと泣いてもいた。

香澄姉さんが僕に、なんらかを仕掛けているのは、明らかだ。

その静かな佇まい同様、あまりにそっと、優しく、この小さな鈴の音色をもって。

重さが増していく。腹部の鈍痛も手伝って、徐々に膝が折れていく。

僕とうとう、床に手を突くことになった。

面をあげているだけでも、つらい。

まるで鎖が絡まっているようだ。