濛々、舞い上がる砂煙の中、

「十回は骨が砕けているはず。……という予測は、ハズレ? それとも、すべて受け流した?」

「ごめんねぇ一二三さん……ボクは、ちょっと体が頑丈なんだ」

野獣の瞳は、爛と月のように灯っていた。

大した体の作りをしていると思う。

さすがに変身能力がある分、見掛けに従ってその耐久性も向上しているのだろう。

人は見掛けによらぬが、力は見掛けにそぐうのだ。

「ひとつわかったことがあるよ、一二三さん」

「なに」

埋もれた体を引きずり出して、獣は唾液の滴る牙を剥く。

「ボクと一二三さんは、あまり仲良しになれそうにないってことさ」

その言葉には、さすがにうなずく。

とても、共感した。