† 第十四節



突然、幹へつけた『目』の映像が遮断された。

なにか重くて大きなものに潰されたような、いや、濁った白いなにかに押し包まれたような、気持ちの悪さがある。

いや、両方かもしれない。とにかく吐き気がほんの少しする。

一二三さんへつけたままにしていた『目』も通じないみたいだから……たぶん、あの屋上そのものが今、『目』を受け付けなくなってるんだろう。

幹に殴られた腹が、まだ痛い。

普通、ああいう痛みは時間を置けば薄れると思うのに……ひょっとしたら、骨の一本にひびでも入れられたのかもしれない。

『目』で見てしまった幹の正体を考えれば、それくらい、ありえそうな気がした。

とにかく、屋上へ向かわないといけない。

『目』は途切れてしまったけど、あのままじゃ、二人は戦うつもりだ。

幹は僕のために、僕に詳しくを教えてくれなかった。

ひょっとしたら、僕の『目』について一番最初に語ってくれるのは、あの人じゃなく幹だったかもしれない。

幹こそが、僕の『目』について一緒に悩んで、一緒に考えて、一緒に使い道を導き出してくれたのかもしれない。