コンクリートへダイブするような跳躍から、片手を突く。

そのとき大竹の爪が、私のいた位置を抉っている。

コンクリートの地面が、まるで砂場のようにあっさり、大竹の手にすくわれていた。

突いた片手を支点に捻りを加えながら前転、着地。

結果、大竹に真正面から向き合う。

大竹はガラガラと、陥没させたコンクリートへ抉り抜いたものを落とす。

おもしろいほどの、馬鹿力だ。称賛を送る。

「文字通り、化けの皮が剥がれた、か。いや、皮を被った、というべき? その姿を六条に知られたくないというのが、本音。結局お前は彼の意思よりも、自分の願望を押し付けようとしてる。けど……その潔い独善のほうが、一二三は好き」

獣面が、笑んだ。金色の瞳が、不気味なまでに柔和な三日月型となる。

「君に好かれても、まったく嬉しくないよ」

「気にしないで」

そしてこちらも臨戦態勢として、

「喜んでもらおうとは、思ってない」

腕組みを、解いた。

右腕に、天使の炎が顕現する。