「どうしてっ、賢一……なんで、どうして……どうして!」

「実のない話は嫌いだと言ったはず。実のある質問をしたらどう?」

「っ」

こちらと六条の千里眼とを交互に見やり、ついに、彼女は『目』だけへ視線を注いだ。

彼女は震えていた。

「賢一……それは、『目』だね……? そう、千里眼かな……?」

《うん……》

宙に固定されている眼球が、するりと大竹へ向く。

彼女の肩はガタガタだ。

「どうして……いったいいつ、なぜっ、『目』をつけたの!? 『目』の覚醒くらいはあたしも知ってたよ。けど、なぜ『目』を……今君は、あたし達の会話を聞いたね? あたしが十年をかけてきた今までを、人の秘密を、すべて聞いたね!? 教えたくはなかったのに!!」

《ごめん……》

声を湿らせる大竹を見ながら、なんとはなしに、六条も罪だと思わざるを得ない。

無知は罪じゃないと? 現にこうして、罪が起こっているのではないだろうか。

大竹の気持ちなど、わかりたくもないが。