しかしだ。

ゆっくりと、

「それなら、聞いてみよう。六条賢一」

、、
そこへ目を向ける。

「っ! 賢一!?」

驚く大竹と、一二三の中間――鮮烈なオレンジから菫色へと落ち着き始めた中空に、それは鏡の表を向けるように、丸く光を反射させて現れた。

あまりにも青い青い、不思議な螺旋模様を瞳に描く眼球。

六条賢一の持つ『目』がそこに、初めて、色とか達をもって具現化していた。

いかにも魔性らしい、ナイフで突き開けたような細い瞳孔が、こちらを凝視している。

「今の話、すべて聞いていた?」

《……うん》

訊ねると、声だけが返ってくる。ひどく落ち着いた声だ。

いや、それとも一二三達の会話を聞いて、呆然としているのか。

ひょっとしたら、自分でその『目』を顕現させていることさえ、彼は気付いていないのかもしれない。

「な、なんでっ、賢一……っ」

一瞥してみれば、大竹はすでに狼狽していた。

意識のほとんどが、すでにこちらから外れている。

それはそうだろう。
一番隠していたい本人の、まさしく『目』の前で、洗いざらいを喋ってしまっていたのだから。

そのたじろぎに、少し、笑えた。