「六条賢一に余計な知識を与えたくないのが、ヤツの心理。もしも昨日に引き続き、一二三が六条賢一との接触を図ったとしたら? そしてその後、一二三が六条賢一を教会まがいの捜査へ付き合わせるとしたら?」

「なるほど……無視はできない。犯人の心理なら、当然阻止に入るだろうね。賢一を一二三さんから遠ざけ、そして一二三さんへ一手仕掛ける。そこへ現れたのが、あたしってわけだ」

納得とともに顔を伏せた彼女が、

「ご名答、さすがだよ一二三さん」

直後、突進してきた。

踏み締められたアスファルトにひびが入り、その欠片が跳ね上がる。

それすら落着する前に、彼女の握り拳が振り上げられた。

顔面へ直線、突き込まれてくる。


が、この一二三を、侮るな。

瞬時に右足を引いて横向きになり、頭の位置をずらす。

腕組を解くと同時に、右頬近くを掠めていった拳――そこから延びる腕めがけ、掌底を――