† 第二節



明日行われる小さな予定予定を聞くホームルームが終わり、僕ら学生はそれぞれ、部活や帰途へつく。

「さっ、帰ろうよ、賢一」

と、高校支給の通学鞄ではなく、胴を斜めに通るベルトのリュックをしょった幹が僕のところへ来た。

僕も幹も帰宅部だし、お隣さんの幼馴染みということもあって、帰りはいつも一緒だ。

僕らは異性だけど、あまりそんなことを気にする神経はない。友達は友達という、味気ない考えだ。

けれど、

「あ、ごめん」

僕には、今日は彼女と一緒に帰れない理由があった。

「ちょっと用事があるんだ」

「用事ぃ? なあに、付き合うぞぉ?」

「いや。ひとりでね。悪いけど」

「そぉう?」

やんわりと断って立ち上がらずに、幹を見送った。