「単刀直入だけど、聞かせてもらおうっかな。なぜあれがあたしだってわかったの、学年トップの一二三さん? その推理を、さっきの独り言の続きを、ぜひとも聞きたいね」

「……答えは、いつでも至極簡単」

「へぇ?」

白を切るように、彼女の受け答えは単調だ。

つい癖で、腕を組んだ。

「大きく引っ掛かったのは、ヤツの昨日の言葉。六条賢一に余計な知識は与えるな、とヤツは言った。

余計な知識――それは、六条賢一のさまを見ていればわかる、人外についての常識。彼はその方面の知識があまりに欠乏していた。自らが人外であるにも関わらず。

それはどういうことか、考えてみた。すると出てくる答えはあまりに単純。『だれも彼に知識を与えなかった』という事実。

それはなぜ? 彼が、人外魔境の世界へ踏み込むことをよしと思わない者がいる。

それはだれ? どこにいる? だれがそんなことをできる? その答えは」

「賢一の身近にいる人物、ということだね」