† 第十二節



僕の瞳は普通じゃない。だけれど、この瞳でどれだけのことができるだろう。

たとえば、僕がこの力でなにか望むとしても……なにを望むというんだろう。

僕は今、このまま放課後がやってきて、これまで知らなかった世界へ引き込まれるのが、少なからず恐ろしい。

だからって、僕がどれだけ傾いていく太陽をにらんだところで、時間を一秒だって止まりはしない。

僕は六条賢一だ。

大したことはできない。

そんな僕が、一二三さんの力になれるんだろうか。

その疑問に答える僕の心は、いつだって苦笑したままだ。

ただ、超越とした彼女の存在感、あの眼差しを思い出しては、震え上がるばかりだ。