「一二三さんから話してくれたんじゃないか。途中でお預けはずるいよ」

がじゃり。がじゃり。がじゃり。

「?」

がじゃり。がじゃり。がじゃり。

「……」

変な音がすると思ったら、一二三さんがおかずを食べていた。

真っ黒い……たぶん、ハンバーグかコロッケかオムレツか、いや本当はなんなのかサッパリわからないなにかが、一二三さんの口の中へ。

がじゃり。がじゃり。がじゃり。

まるで猫がキャットフードを食べているみたいに、一二三さんの口が大仰に動く。

歯の間や、唇と歯茎の間に詰まりそうな音だ。

「火は、充分通ってるみたいだね」

「うるさい」

がじゃり。がじゃり。がじゃり。

どう見ても炭でしかなさそうなそれを、だけど彼女はしっかりと食べている。

やっぱり、どれだけ真輝さんのことを言ってても、親のことを嫌いにはなれないんだ。

……苦そうだけど。