昼休み、『目』を通して僕を呼び出した彼女は、僕を屋上へと連れていった。

屋上への扉は鍵がかかっていたと思うのに、そんなのはまったく問題にならなかった。

なぜって、ドアノブが根こそぎひねり取られていたから。

そこまでして僕をひと気のないところへ連行し、いったいなにかと思えば、一緒にお弁当を食べてある。

もっとも会話の内容は、彼女へなにをどう協力すればいいのかっていう、作戦会議じみたものだけど。

「教会ってなに? 教会っていうからには、なにかの宗教?」

お弁当の包みを開けながら、一二三さんが説明してくれる。

「〝九尾の末裔〟を筆頭に構成された組織。彼らがいる限り、一二三やアイツ、お前ょような超常が日常へ知られることはない。超常の強制隠匿者。世界は、教会という巨大な暗幕に包まれてる。たったひとり、除いては」

そして、カパと開けられた彼女のお弁当は――

「……なんか、黒いね」

ちょっと、焦げ臭かった。