彼女の言葉と幹の言葉――双方の意味合いを汲み取って、聞き直す。掲示板の名前を指差しながら。

「もしかして、あの名前の人」

「ええ」

と、彼女の返答は端的で、

「かざま、ひふみ、って読むんだ?」

「ええ」

その瞳もまた、どこまでも冷淡だった。

す、う――と、向けられたとき同様、彼女の目が流水のように僕から外された。

会話の終了も、儀礼的な別れの一言もなしに、風間さんは僕らに背を向ける。

「次は負けないよ、一二三さん」

面識があるのか、幹が彼女をファーストネームで呼ぶ。

幹も成績上位だ。ともすれば、今回も彼女の名前は上から三番目にある。

トップにいる風間さんは、ライバルなんだろう。