「魔法は違うの?」

「ああ、全然な。覚えとけ。魔法にはな、明確な公式と回路が必要なんだよ。俺は体内にその公式と回路がある。もちろん、これを形成するのだってきちんとした手順や式がいる。たとえば今ここで俺が火を出したとしたら、お前にはパッと火が発生したように見えるだろうがな。見えないところで代償と報酬のやり取りは行われてるし、現象を引き起こすための鍵も回されてる。もちろん、代償は少なくない」

「……よく、わからないや」

「まあ、お前は魔法なんざよく知らんでもいいさ。お前は俺とは違う。先天的だからな。すべてはの回路は血管や神経、電流は血液に換言される。システム管理は脳みそで、その回路の数は六つといったところか」

「センテンテキ? カンゲン? やっぱりよく、わからない」

「お前は魔法使いでもなけりゃ、魔術師でもない。当然魔導師でもない。だから気にするな。お前はお前、俺は俺だ」

「うん」

ついでに言うと、女の人なのにどうして自分のことを『俺』なんていうのかも、わかなかった。