† 独節



そういえばずっと前、僕がまだ小さかった頃、僕の三つ目について教えてくれた人がいる。

それは、ひとつの『力』だって。

人にはない個性、常識に囚われない未知、進化する可能性だと、その人は教えてくれた。

そう、温故知新っていう言葉を僕に教えてくれた人だ。

もう、この街にはいないけれど。だけど、その人はとても大きな存在だった。

僕を圧倒していった。

その人が、僕の三つ目の存在を、おかしなものじゃないと肯定してくれなければ……どうなっていたことか。

ほかの人にはない、第三の瞳。

それも、『目』をつけたり、人を死に至らしめるような、邪眼。

あの人に肯定してもらっていなかったら、僕は頭がおかしくなっていたんじゃないかと思う。

僕のことをよく理解してくれたあの人も、けれどある日、マイナスともプラスともつかない言葉を投げ寄越した。

今でもあのやり取りは、頭の中でリピートできる。