「これ」

「これ、が?」

「持っていて、今日から。離さないで、いっときも。お守りだから」

言いながら姉さんは、僕の手首を掴んだ。


僕の返答なんて待たずに、鈴を手首に結わえ付けられる。

ちりん。

清浄さが、僕の手首から。

「お守りだから」

「……」

「持っていて」

「うん……」

姉さんと僕は、苗字が違う。

それなのに彼女は、僕の姉だと言い張る。

だったらこの鈴もきっと、どんなにただの鈴に見えたって、お守りだって言い張るんだろう。

やっぱり、どんな時でも少し、僕は香澄姉さんが苦手でならなかった。