幹は、推理が好きな人間だ。だけど、僕の言葉からは推理ができないらしい。

我が家のお隣さんにして幼馴染みの大竹幹曰く。

「賢一、君の証言は必要な部分が得られない。不必要素材じゃ、推理の使用がないの。

まともな証言ができないと、いざなにかしらの事件に巻き込まれて冤罪をかけられても、言い逃れできないよ?」

つまり……名前の字を空中に書くよりも、『学年トップ』で『難読な名前』という『キーワード』を述べたほうが、彼女にはわかりやすかったということだ。わざわざ、数字が並んでると言うよりも。

僕にはその思考回路、順序が少しわからないが……最後の一言は余計だと、今でも思う。冤罪ってなんだ、冤罪って。