そしてまるで、僕がまた純さんのコーヒーを飲むのを待っていたかのように、真輝さんの口調が堅く、威圧的になる。

「それじゃあ、今からこちらの要求を言うわ」

「……要求?」

どういう流れで、そうなるのだろう。

疑問は僕の胸裏だけ取り残され、真輝さんの要求が提示される。

「一二三はアナタに一度殺されたことか許せない。あの子の憤りを払拭するために、アナタは一二三に認めてもらうだけの努力をしてもらうわ。そのために、やってほしいことがあるのよ」

「……それは、なんですか」

「――それは、」

そして気付けば、

「一二三が決める」

リビングの入り口にいつのまにか、一二三さんが立っていた。

何者も寄せ付けない雰囲気はどこか緩和されていて、その立ち姿はまるで、真珠貝から顔を覗かせる使者のようだった。

真輝さんの目がちらりと動き、まぶたをゆっくりと閉じる。

「もう泣き止んだのかしら? 誇り高き、鬼の、お姫さま、は」