純さんは、なんだいつものことなのか、こたえた様子はない。

平然と言う。

「まあたぶんだけど、賢一くんの目はその類いなんじゃないかなと思う。相手に害をなす力がある目だね」

つまり、僕は化け物であると……。

一度言われてしまうと、なぜか二度目は驚くこともできなかった。

僕の中の器が大きくなった――というわけじゃない。

単純に、事実を受け止めるための皿がとっくに爆発してしまっていて、そこにだくだくと、溢れることすら無視された事柄が注ぎ込まれているんだ。

もう、なにを聞いたって驚けやしない。

「事実はこうよ。アナタの未熟な邪眼から放たれた力は、一度は一二三を殺したわ。だけど、一二三の潜在能力がその死を打破した。文字通り、息を吹き返したの。結果として、一二三は間違いなく一度死に、それをアナタが見た。そのあとに、一二三は自分の力で命を取り返したのよ。この時間差で混乱が起きた。わかってしまえば、事実なんてこんなものだわ」