「美味しいとか、美味しくないとか、僕にはよくわかんないです。コーヒー、あんまり飲まないので」

「……」

「でも、……その、なんかホッとする味です」

真輝さんは、

「上出来。それが純のコーヒーよ」

と笑んだ。

横で純さんが、照れ隠しにこめかみを掻いていた。

「気が落ち着いたところで、教えてあげるわ。まずははっきりとわかることからだけど、一二三が死んだのに生きている理由は、それがあの子の力の大きさを示しているからよ」

「力の大きさ?」

「そう。存在を構築する要素が膨大、とも言えるかしらね。東城の血族は大を重ねるごとになんらかの新しい力を生み出すの。一二三にはつまり、未だかつて一族のだれもがなし得なかった可能性がつまってるわ。その未知数の力が、一度は死んだ一二三の意識を再び覚醒させたのよ」

死んだ意識を覚醒って……

「それじゃ一二三さんは不死ってことですか?」

言葉をそのまま受け取れば、そうとしか思えない。