彼女が、す、う、とこちら放り向く。

「カザマ・ヒフミ」

「あ、え……」

「あの名前は、カザマ・ヒフミ。そう読む」

彼女の瞳のまっすぐなことまっすぐなこと――僕はさらに数秒を魅了され、完全に理解の速度が鈍っていた。



「へぇ、そっかそっかー。賢一が言ってたのは一二三さんのことなんだね」

と、先に反応したのは、幹。彼女は妙に納得した風に、首を縦に振った。

「なるほどねー。成績トップ、なんて読んだらいいかわからない名前ね。そう考えたら一二三さんしかいないね。うん」