―――○○駅です。お忘れ物のないようお降りください。


ハッとして目が覚めると案の定乗り過ごしていて、わたしは急いで電車を降りた。

終電だったので帰る電車はなく、自業自得だなと自然にため息を落とす。

もの思いにふけながら、停車しているタクシーを横目に、足早で帰路へ向かう。

疲れていたがここはやはり歩いて帰る方が財布にも優しいだろう。

高いヒールで疲れきったつま先に鞭打つように歩幅を大きくした。