私は今、仕事を済ませて、趣味で始めたバンドの練習の帰り道。

それなりに充実した日々を送っているはずなのになぜかひとりになると、ふと虚無感に襲われる。


騒がしい人混みを抜けて、改札をくぐり、電車の座席に座ると、やっと安堵の息が漏れる。


最寄り駅までは7駅ほどで、所要時間はおおよそ30分ほど。

運よく端の座席を確保した私は、疲れた体をてすりに預けた。

定期的に揺れる車内が心地よく眠りを誘ってきて、(少しだけ) とわたしは瞼をゆっくりおろした。