後ろ姿を見送りながら、はて、あれは誰だったかしらと、早紀は頭を捻る。


同じ会社の同じビルに勤めているのだから見覚えがあって当然だが、そういった既視感ではない。


夕方、間もなく就業時間だというのに、どうにも回りの鈍い頭では、結局答えは導き出せなかった。