そして、出発の日。

私は見送りにはいかなかった。



行ってしまうという現実を
まだ、受け入れられずにいた。


だって、
幼い私が初めて想った人だったから――





でも、それは悲しく散った。



だから…





せめて花だけは、散らぬよう、
彼からもらったその花を。


まだ、
ほのかに香る甘い匂いとともに…


まだ、
捨てきれずにいた自分の想いものせて…




小さなしおりに閉じこめた…。