「はぁ~、びっくりした……」

ベッドに倒れこむと、目を閉じる。

全く私ったら何考えてるんだろう。
あの遼さんが、まだ仕事中なのに迫ってくるはずないでしょ……。
それでも、もしかして……と思ってしまい、緊張して遼さんから距離をとってしまった。
でも嫌だったわけじゃない。
遼さんのことを好きになってしまった今は、いつそうなっても……。

って、私、何エッチなこと考えてるんだろう……。

パッと目を開けると遼さんのベッドの上にいる自分が急に恥ずかしくなり、慌てて飛び降りた。
床に座り込み、激しく脈打っている心臓を静める。
少しづつ落ち着きを取り戻し始めると、部屋をキョロキョロ見渡した。
初めて入る彼の部屋に、また心臓が高鳴る。
今日の私の心臓は、いつにも増して忙しい。

「私、遼さんの部屋にいるんだ……」

男のひとり暮らしにしてはキレイに片付いていて、居心地がいい。
置いてある家具は少ないけれど、どれも良い物なのが素人の私にでも分かる。

「このソファー、高そうだなぁ」

ゆっくり腰掛けると、その沈み込む感じに溜め息が出た。

しばらくソファーでくつろいでいると、誰かが階段を上がってくる音に気づく。