ミルクパンで牛乳を沸かす後ろ姿を眺める。
好きな人が私のためにキッチンに立つのって……。うん、いいよね。
この幸せ、ずっと続けばいいのに……。
遼さんが沸かした牛乳をココアが入ったカップに注ぐため振り返ると、慌てて顔をそらす。
また見つめてたのがバレたら、今度こそ言い訳できない。
出来上がったココアを持ってくると、ソファーに座る。
「はい、熱いから気をつけて」
カップを手渡されると、少しだけ指が触れた。
ドキッとして、手を引っ込めてしまいそうになる。
「おっとっ!!」
「わぁっ、ごめんっ!!」
何とか床を汚さずには済んだけど、遼さんの指に零れてる?
「遼さん、指っ!! 熱いでしょ、早く冷やさなくちゃ……」
「大丈夫。少しだけだから、大したことない」
カップをテーブルに置くと、ココアの付いた指をぺろっと舐めた。
その仕草に、ドキドキが加速していく。
カァッと顔が赤くなるのを感じ、あたふたと顔を隠す。
うん? 遼さんが何も言わない? 静かすぎるんじゃない?
気になって、指の隙間から覗いてみると……
「うわぁっ!?」
目の真ん前に、遼さんのどアップ!! 飛び上がってソファーの端まで後退る。
「顔がイチゴみたいに真っ赤だけど?」
ジリジリとにじり寄る遼さん……。