「ちゃんと温まってきた?」
お風呂から上がり大きなトレーナーを着てリビングに行くと、遼さんの笑顔に迎えられる。大きいとは言え、ちょうどお尻が隠れるくらいしかない丈の長さを気にしていると、遼さんが近づいてきた。
「ごめんね、それくらいしかなくってさ」
「いいえ、助かります……」
遼さんの視線を足に感じ、照れながら応える。
「梓、緊張すると敬語なのな。分かりやすい」
2歳しか違わないのに、また頭を撫でられた。
どうせ私は子供ですよ……。
ちょっと不貞腐れていると、「まぁまぁ」と言いながらソファーに座らされた。
「ココア作っておいたから飲んでて。俺も風呂入ってくるけど、まだ話したいから起きててね」
そう言い残すと、ウインクをして見せてから脱衣室へと入っていった。
「ふぅ~、何か疲れた……。ココアが甘くて美味しい」
自分の気持ちの変動についていけなくて、身体が疲れてしまっていた。
その身体を、甘いココアが癒してくれる。
遼さん、もしかして私の気持ちに気づいてる?
まさかね……。
ソファーに座ったまま身体を横に倒すと、あることに気がつく。
「私、今日どこで寝るんだろう。遼さんと一緒にベッドで……なんてこと、ないよね」
また気持ちがソワソワしてしまって、落ち着かなくなってしまった。
ドキドキが早まっていくのが分かる。
やっぱり私の胸は忙しい……。