「りょ、遼さん。これはちょっと……」

「だって梓、顔見せてくれないからさ。このままだと俺、襲っちゃうかも」

「遼さんはそんなことする人じゃないでしょ?」

「この状態で冷静だねぇ。俺だって男だよ? そのことちゃんと分かってる?」

そんなこと分かってるよ。でも冷静なフリでもしてないと、遼さんの抱きしめられている腕に、甘い反応をしてしまう。
このまま抱かれてもいいって……。

「何、黙ってるの? それは抱かれてもいいってこと?」

「そうじゃない……」

「やっと声聞かせてくれた。梓、無防備過ぎ。部屋入って梓がソファーで寝てる姿見たら、理性吹っ飛びそうになった」

「……それでも、よかったのに……」

「えっ? 何? 吹っ飛んで良かった?」

私、何言ってるのぉ~? 
こんな体勢だから、頭おかしくなっちゃったとか?
遼さんを押し退けるようにガバっと起き上がると、ベッドの上に正座した。
遼さんも体勢を戻して正座する。

「遼さんが仕事中に寝ちゃって、ごめんなさい」

「いいよ。俺が勝手に監禁したんだし」

クスクス笑うとこを見ると、雅哉くん、何か話したよね?
でもこうやって、ベッドの上で二人正座して向かい合っていると、新婚初夜の初々しい夫婦みたいで照れくさい。