待っている間に、雅哉くんが持ってきてくれた料理を口にした。思った以上にお腹が空いていたのか、ポテトグラタンやチキンサラダをぺろっと食べてしまう。
「この“オレンジ・フィズ”が合うんだよね」
料理と一緒にあった、カクテルを手に持つ。
オレンジジュースのフルーティーな味わいとソーダの爽快感を楽しめる、女性に人気のある“オレンジ・フィズ”。ドライ・ジンの苦味がアクセントになっている。
最後に、グラスに飾ってあったスライスオレンジを口に含むと、その甘さが口いっぱいに広がった。
と同時に、気疲れとほろ酔いからか、急激な睡魔に襲われてしまう。
「遼さん、まだ働いてるのに、寝ちゃったらダメだよ……ね……」
無意識にグラスをテーブルに戻すと、そのままソファーに倒れ込んだ。
どのくらい眠っていたんだろう……。
人に気配を感じ、意識が俄に戻ってくる。
と次の瞬間、身体がふわっと浮く感覚にパッと目を覚ます。
「ごめん、起こしちゃったな。今、ベッドまで運ぶから」
それが、またしてもお姫様抱っこで運ばれていると気づくのに、時間が掛かってしまった。
何も言葉を発しないままベッドに下ろされる。
そこで今の自分の状況に気づき、慌てて布団に潜り込んだ。
「今更でしょ」
そう言って笑いながら遼さんがベッドに腰掛け、布団を捲り上げた。
顔を見られないようにうつ伏せになると、体の下に手を滑り込ませて背中から抱きしめられてしまう。