「さてと、じゃあ俺、店戻るわ」

「えぇっ!? もう終わったんじゃなかったの? 今って何時?」

「まだ10時くらいじゃない?」

嫌だぁ~。こんな長い時間上にいたら、何かあったと勘違いされない?
とくに雅哉くんは、遼さんが甘い言葉を言いだしたのを聞いて、店に戻っていったわけだし……。
ほんと、勘弁して欲しい……。

「今日は泊まっていって。 帰したくないんだ」

え? それって……。

「はははっ、梓のその顔っ。心配しなくてもいいよ、何もしないから。梓がどうしてもっていうなら、俺、頑張るけど?」

「頑張らなくていいっ!!」

真っ赤な顔で叫ぶと、今度は頬にキスをした。

「梓はキスが好きみたいだね。また戻ってきたら、いっぱいしてあげる。おりこうさんに待ってて」

最後の言葉に唖然としている間に、遼さんは店へと戻ってしまっていた。

「……絶対に遊ばれてるよね?」

キスをされた頬を撫でる。
さっきの余韻がまで残っていて、くすぐったい。
おでこも唇も……。

「戻ってきたら、いっぱいしてあげる……」

その言葉を口にすると、身体の奥で甘い熱を感じてしまった。

-----今度はどこにキスをくれるの?-----

そんな淫らなことを考えてしまう自分に呆れてしまう。

でも、それほどまでに遼さんのことが好きなんだと、改めて気づかされてしまった。