「じゃあ俺の計画はうまくいってるってことだ……」

遼さんが何やら小声で呟いた。

「えっ? 何?」

「いやっ、何でもない。こっちの話だから気にしないで」

何だか腑に落ちなくて首を捻っていると、遼さんが笑い出した。

「そっかぁ、梓は俺のことが好きなんだ」

「なっ……!?」

ハッキリと言われてしまい、顔が急激に熱くなる。

「まだ恋愛の事をちゃんと分かってない梓に何を言っても無駄かもしれないけど、彼女のことは心配しなくていいから。俺が好きなのも梓だけ」

そう言って顔を近づけると、おでこに柔らかいキスを落とす。

その好きは、どういう意味の“好き”?

目をきゅっと瞑ってそのキスを受けると、遼さんの胸に抱かれた。

「あぁ、梓が言った『美人が好き』って言うのは間違いじゃないな」

「じゃあやっぱり彼女のことも好きなん……」

「ばーかっ。梓のほうが美人じゃん」

「!?」

あり得ない言葉を耳元で囁かれ、訳の分からない感覚に襲われる。
可愛いとか美人だとか、からかうのもいい加減にしてほしい。そんなことを言われ慣れてない私は、どういう顔をしていいか分からなくなる。

「とにかく契約の期間のクリスマスまでは“おためしの恋愛”を続ける。いい?」

遼さんの言いたいことは分からないけれど、今はその言葉にうんと頷き契約を続行することを決めた。