真輝ちゃんの食べ残し……この事件は最初から闇に葬ってしまおうと思ったけれど、僕の疑問まで、闇に落としてしまった。

過去という名の、もう二度と回収不可能な暗い泉の底からは、なにも拾えやしない。

もう、どうしょうもない。確認する、もしくは調査する見当がつかない。

解決も解消もできない謎は、これまで生きてきて何度もあった。大概、忘れた頃にポッと蒸し返されるか、そのままなにもなくて、記憶の彼方に埋もれてしまうか。

これは、どちらになるだろう。もちろん、後者であってほしい。

そんなことを考えていた時、こんこん、と音がした。

その方向、オフィスの入り口へ目を向けると、内村が立っている。右手が壁をノックした形のまま固まっていて、左手には、ビニール袋が下がっていた。