さっきの電話で、少し冗談かまして「なんであの女はワンピースだったんだろうね?」なんて訊ねてみたら、とてもとてもあっさり答えられた。

博識な仁曰く。

『あの思念体は本体、ひいては即身仏が作り出した分身だろう。あくまで分身、本体じゃない。つまりはイメージの具現化だ。本体が思うように姿形は形成できる。

だから錫杖だって、好きな時にほれさっさだったろ。イメージだからな。想像物に想像物を加算するのは簡単だ。服装だのの些細なところぐらい、いくらでも調整可能だろうよ』

「でもだからって、なぜゴシックスタイルのワンピース?」

『さあ。着たかったんだろ。もしくは、あの服装が強く印象に残るようなことが、あの礎のそばであったか、だ』

とても、とてもあっさり答えられた。

着たかったって……古代の巫女がそれだけの理由で服装を変えるだろうか。それとも、女性はいつの時代もそうなのだろうか。

僕にはわからない……。