退屈、退屈。


高校に入ってから、ドキドキしたことといえば入学式の『赤』の一件くらいである。

あ、でも初めて『藤原家』という名前の枷から外れて勉強も運動もできたし、友達も出来た。あの感動はキラキラしていて忘れられない。

ところが、今はどうだろう。



「退屈」

「「は?」」

「すみません、もう我慢できません」


そう言って私は、ポカンとする男たちの顔を尻目に笑った。

それから金髪の男の方の脛に、じゃがいもやらが入った重いビニール袋をクリーンヒットさせた。



*



「コラァァァァァ待てやアアァァアァァ!!」

「や、ほんとにすいません! でも私、」


退屈を打開するには、どんな手も厭わないほど残忍な女なんです!

と、叫んだけれど。

虚しくも追いかけっこが始まった。