今日の献立は、無難に肉じゃがにしようと思った。

だから、にんじんとじゃがいも、豚肉を少し買った。それからお気に入りのケーキ屋さんで、ショートケーキを一切れ買った。

我ながら、いい買い物をしたと思う。

そこまでは、気分よく帰っていた。




「なぁなぁ、そこの女のコ~」

「今時間空いてる?」


二人組みの男が、私に近づいてきた。

1人は金髪で、もう一方は茶髪。どちらも耳には重そうなピアスをつけていて、ズボンはずり落ちそうなほど下げて穿いている。

私は2人をちらりと見て、苦笑する。


「申し訳ありません、今は買い物の帰りでして」

「そーなの? じゃ、オレらが手伝ってあげよっか?」

「家まで送ってくから、それから3人で『楽しいコト』しない?」


彼らは、にやりと獰猛に笑う。顔をすぐそばにまで近づけられたが、彼らから香るきつい香水にえずいてしまい、顔をそらして苦笑する。


「それではあまりにも申し訳ありません」

「いーよいーよ、後でお礼はもらうからさ」

「でも、」

「てかさ、キミお嬢様なの? なんかオーラがお金持ちだよね」


気さくに話しかけてくれる彼らに、私はさらに苦笑した。

苦手だ、こういうの。少女漫画で昔こんなシーンがあったなぁなんて頭をよぎったが意識を現実に戻す。