【Haduki】
「タイムってアリですか?」
「ナイな。大人しくヤられろ」
「……オ、オニーサン。よく見たら超イケメンじゃないですかー、ワタシこんな人に怪我させちゃったのかーマジ後悔ー」
「棒読みがひどすぎて怒れねぇよ」
「く……っ!やっぱり心にもないことを言うと……」
「オイ、心の声が漏れてるぞ」
「いっけねぇ!」
股間蹴りあげちゃった事件から早数十分。
私かなり耐えてると思う。耐えてるよね!
目の前にいるオニーサンは相変わらず悪人ズラだけど、さっきと比べればかなりいいと思う!
「私なんか喰っても多分美味しくないですよ」
「それ普通自分で言うか?」
「ええ言いますよ」
「……(駄目だこいつ)……あのなぁ、今俺らのとこにはリーダーがいなくて金に困ってんだ」
「……つまり私を売ってさくっと金を手に入れようと」
「そういうこと」
「どこも不景気ですからねぇ」
「なんでいきなり友達ノリなんだよ」
そっかぁ、カラーギャングってのも大変なんだねぇ。
私は(自分が股間を蹴り上げたのも忘れて)、チャラ男の頭を撫でてしまった。
ふ、不覚!また怒られちゃうぜ!