【Haduki】
今まで、小指をタンスにぶつけるのが一番いたいと思ってたけれど、そうではなかったらしい。
*
「てめぇには脛を『こんな風』にさせられたからなぁ」
「ちょ、見せないでくださいよ! 見るだけで痛い」
「やったのはテメェだよ! くっそ! ぜってぇ泣かして、謝らせてやる!」
「え、何この死亡フラグ!」
目の前に(脛が痛いことになってる)金髪の男が仁王立ちになって、私の襟元をつかみあげて怒鳴った。
ずるり、と足を引きずられて持ち上げられたので、シフォン素材のスカートが少し、破れる。
太ももが外気にさらされて、少し鳥肌が立った。
「大人数で殴られるのと、ヤられるの、どっちがいい」
「ヤられる、のカタカナ変換以外はありますか」
「ないね」
「じゃぁ、殴るほうで」
「分かった、ヤるほうな」
「No thank you!」
しまった。
今思い出した。
『青龍』といえば、最近巷で有名な、悪名高いカラーギャングさんたちではなかっただろうか。
本日何度目だろう、本当にこんなことってあるんだなぁ。
と思ってたところで、太ももに手が張っていたので、取りあえず男の急所をけっておいた。