「元々血の気盛んな連中だ。俺は嬢ちゃんが男性恐怖症にならねぇことを願うだけだぜ」
「オーマイガッ! そんなのってありですか?!」
おじさんは、この日一番の素敵な笑顔を残して、倉庫の奥のほうへと立ち去ってしまった。
そして目の前には、話の通じなさそうなチャラ男たちがニヤニヤ笑いながら近づいてくる様子。
ジーザス! これを人々は絶体絶命と呼ぶ!
*
【Secret】
かったるい入学式が終わってから、始めての土曜。
今日も目が覚めたら知らない女の横に寝ていた。
それを仕事場の部下にしゃべったら、朝一でキレられた。
「冗談はその赤い髪の毛だけにしてください」
「自毛だ」
「女癖悪いとか最悪じゃないっスか」
「アチラさんから寄ってくるんだから仕方ねぇ」
「この歩く18禁」
「俺は今年で17だ」
「その17歳は、今年で『東雲家』の若頭ですかぁ。あぁ怖い」
「普通目の前で言うか?」
不毛な言い合いは、標準装備。