友人は"可愛らしい"がピッタリ合うような女の子だ。



華奢で色白で目が大きくて



とりあえずモテる。


なんなら今日お笑いライブに来たのも


出演者の"カキタレ"だからだそうだ。



その類いの話はあたしは詳しくない




お笑いライブを一頻り楽しんでさぁ飲みに行こうと浮き足立つアル中に片足突っ込んだあたしの腕を友人が引く



『いやなにさりげなく磯丸の誘惑に負けそうになってんの?』



どうやら出待ちと言う儀式にあたしも参加させられるらしい



『マジか。出待ちか。あの行列にお前も混ざるのか』


目の前に行列をなしている若い女の子の先にお世辞にもかっこいいとは言えない芸人らしき人物が見える


『あの人は深夜番組でレギュラー持ってるから人気なんだよ』


友人は芸人の事ならなんでも聞けと言わんばかりの誇らしげな表情で笑いかける


『お前のお目当ての方は人気ないのか。』


目が笑ってないくせに爽やかな笑顔でピースサインを作ってお世辞にも可愛いとは言えない女の子と写真を撮っている男性に目を向けたまま友人に問いかける


『割りと人気あるけど私は列が無くなってから交番の辺りでちょっと話すだけだから。メールしてあるし』


周りの女子達に"私は勝ち組よ"と言う眼差しを送る


その瞬間友人の顔から血の気が引いた