「え?なに?なんで笑うの?」

「浩介くん、やっぱり野球好きなんだ
なって思って」

今なら聞ける

「浩介くん、野球部もどりませんか?」

私の発した言葉に、浩介くんは顔を
少し曇らせた。

「朱里?なんで…」

「浩介!」

浩介くんの声と重なって、誰かの声が
聞こえた。

「安藤…!」

「お前、このままでいいのか!!? 大敗
したのはお前のせいじゃないって、
みんな言ってるの聞いただろ!!?」

「っるせーな!辞めたっつったら
辞めたんだよ!もう関係ねーだろ!
放っといてくれよ!!」

いつも笑っていた浩介くんの
感情的な姿。
野球を見てるときの真剣な顔。

…………私に

なにができる?


「とにかく!ウチにはお前が必要なん
だよ!」

「今、彼女とデートしてんだよ。
邪魔しないでくれ」

そう言って私を連れていこうとする
浩介くんを必死に安藤くんは止めた。

「彼女も説得してくれよ!今はこいつ
がウチの部には必要なんだ!彼氏なん
て男はたくさんいるんだからこいつじゃなくてもいいだろ!!?」


…ズキン

私はうつむいた。

「安藤!!」

「お前は!野球を嫌いになれるのか!!
野球以上に好きなものなんてあるのか
よ!」

「安藤!!! いい加減に…」


私は彼の腕を引っ張った。