一昔前に流行ったような映画などのポスターがたくさん貼ってある、ガラスの引き戸を開け、店内に入ると、すぐ右手にカウンター。

そこには男性店員が一人立っていて、佐和子をチラリと見ると、

「…いらっしゃいませ…」


全く覇気の無い声でそう言った。

その店員は妙に背が高く、ガリガリで長く伸ばした前髪の間から覗く目もどこか虚ろだ。




…何か、この人気持ち悪い…。


店に入った事をちょっと後悔した佐和子だったが、せっかくだからと店内を見て回ることにした。


「…何よ。お客さん、全然いないじゃない。」


店内を見渡しても、客は佐和子1人だけだった。


「こんなんで、よく潰れないわね…


…それに、何で今時この映画が新作なわけぇ?」


並んでいる作品もどれも古い物ばかり。


…つまんない。もう帰ろ。


そう思った時だった。




1枚のDVDが目についた。