「失礼します。杉野ですけど・・・。」

 私は今、職員室にいる。担任の大原先生を訪ねてきた。

 「おぉっ!杉野きたかっ!待ってたぞ。」

 「今日からよろしくお願いします。」

 「おぉ、うちのクラスはいいやつばかりだからな。

  安心しろよ。なんかあったらすぐに言えよ。」

 「はい」

 大原先生は、私の目のことを何も言わない。

 私のいままで通ってきた高校では、私の目を見て

 態度を変えたりする人もいた。

 始めは、辛くて辛くてしょうがなかったのに、

 最近では、もう慣れてきていた。

 それで、たまたまやってきたこの高校。

 先生がこんなにやさしい人なら、きっと生徒もいい人

 ばかりのはず。

 自分に言い聞かせるように、ずっと心の中でつぶやいていた。