男は書類をファイルに入れ鞄にしまうと


「あんたさ、いい女だと思うよ」


どしゃ降りの外を見ながら男が言った


「きっと、もっと良い男に会えるよ」


目線は相変わらず、どしゃ降りの外を見ていた


美雨はその男の整った横顔に呟いた


「だったら…」


「忘れさせてよ…」


「今すぐ私の体から真山の痕跡を消してよ」


「お願いだから…」