「『光の先に』ってタイトルなんだね
何々、
ーーーその繊細なタッチで描かれた光と影は見るものを釘付けにするだけでなく
その先にある希望の様なものを
感じさせてくれる何かまでもを、一ノ瀬 杜は上手く描いているーーー
って杜くん、凄いなぁ
おまけにあのルックスだしさぁ
こりゃあ、話題になるよ
こんな事ならそこの壁面にでも
何か描いてもらえばよかったかなぁ
ねえ、美雨ちゃん?」
雑貨店オーナーである神村は
雑誌の特集ページを広げながら美雨に言った
巻頭から10ページに渡って
杜の事が紹介されていた
そして
今回の受賞作も掲載されており
杜が描いたのは
薄暗がりの部屋に一筋の光が
射し込む様子が描かれてあり
陰影の深さとは反対に
透けるように射し込む光を
実に繊細なタッチで丁寧に表現されていた
「ええ、そうですね」
と、素っ気なく答え、
手を止めることなく店内の
拭き掃除をする美雨
「美雨ちゃん、少しは休みなよ
ねっ、ドーナツ買ってきたんだしさ」
「ありがとうございます
キリの良いところまで、あと少しなんで」
頑なな態度の美雨に神村は肩を竦めた
大手商社の会長である
田澤 章郎のパフォーマンスにより
一躍、時の人となった杜は
その後も、授賞式を初め
各マスコミの取材で忙しくしていた
テレビや雑誌などの媒体を
通して杜の姿を見るものの
結局、美雨のもとに帰ることもなく
もちろん、電話の一本すらもなかった
美雨はこの状況をどう受け止めていいのか
分からなかった
こうして、世にでてしまった杜にとって
自分は過去のものであって
置き去られてしまったのだろう
美雨はいつしか、そう思うようになっていた
そんな様子の美雨に神村も
今回ばかりはどうしたものかと
考えあぐねいていた
何々、
ーーーその繊細なタッチで描かれた光と影は見るものを釘付けにするだけでなく
その先にある希望の様なものを
感じさせてくれる何かまでもを、一ノ瀬 杜は上手く描いているーーー
って杜くん、凄いなぁ
おまけにあのルックスだしさぁ
こりゃあ、話題になるよ
こんな事ならそこの壁面にでも
何か描いてもらえばよかったかなぁ
ねえ、美雨ちゃん?」
雑貨店オーナーである神村は
雑誌の特集ページを広げながら美雨に言った
巻頭から10ページに渡って
杜の事が紹介されていた
そして
今回の受賞作も掲載されており
杜が描いたのは
薄暗がりの部屋に一筋の光が
射し込む様子が描かれてあり
陰影の深さとは反対に
透けるように射し込む光を
実に繊細なタッチで丁寧に表現されていた
「ええ、そうですね」
と、素っ気なく答え、
手を止めることなく店内の
拭き掃除をする美雨
「美雨ちゃん、少しは休みなよ
ねっ、ドーナツ買ってきたんだしさ」
「ありがとうございます
キリの良いところまで、あと少しなんで」
頑なな態度の美雨に神村は肩を竦めた
大手商社の会長である
田澤 章郎のパフォーマンスにより
一躍、時の人となった杜は
その後も、授賞式を初め
各マスコミの取材で忙しくしていた
テレビや雑誌などの媒体を
通して杜の姿を見るものの
結局、美雨のもとに帰ることもなく
もちろん、電話の一本すらもなかった
美雨はこの状況をどう受け止めていいのか
分からなかった
こうして、世にでてしまった杜にとって
自分は過去のものであって
置き去られてしまったのだろう
美雨はいつしか、そう思うようになっていた
そんな様子の美雨に神村も
今回ばかりはどうしたものかと
考えあぐねいていた