「待って…俺、由羽。そこのBARで働いてんだけど君に一杯、奢らせてよ」 (…えっ?) 「俺の作るカクテルには特別な魔法がかけてあるから元気が出るんだよ」 さすが夜の世界の人。 ノリは軽いが話術が上手い。 たったそれだけの台詞なのに小さな笑みが零れる。 「…一杯だけですか?」 「もうしょうがないな〜。姫と出会えた記念だしお好きなだけ腕を振いましょ」 彼はそう言いながら店の扉を開き私を招き入れた。