その瞬間、停止する。


信号の向こうに目を丸くしてこっちを見ている凌也がいた。


(なんか気まずい…でも知らんぷりするのも変だから手を振ろうとした時、後ろからヒョコッと女性が顔を出した)


「もう水城さん歩くの早いよ」


「…」


私は挙げようとした手をギュッと握りしめ歩き出す。


仕事?友達?浮気?


頭がフル回転しながら最近の凌也行動を分析していたが特に怪しい事はない。


離れようと言い出したのは私だけど、もし凌也が浮気していたら…

もし他に好きな人が出来ていたら…


私は大きな不安という波に押し潰されそうになっていた。