真っ赤に頬を染め無駄な
オーバーアクションをとる翼に
釣られ私まで照れてしまう。

それを隠す様に言葉が出た。


「何…それマヂ話!?
てか全然気づかなかったん
ですけどぉ〜」


「気付かれてたまるか!!
つか何で美優に惚れたのかも
覚えてねーし」


「ちょっと〜
それが初恋の人間に言う台詞?」


痴話喧嘩みたいな
私達のやり取りを
クスクスと優しい笑顔で
見てる奥さんが口を開く。


「私が子供の名前を
美羽にしたいって言った時に
初恋の人の名前が美優だって
告白したのよ」


大事な娘の名前を決める時に
そんな昔話されたら
中には不機嫌になる人も
いるだろうに奥さんは
凄く楽しそうに話す。


生まれ育った場所が違うからこそ
話して欲しいのに
翼はあまり昔話をしないらしく
唯一聞けた初恋の話が
嬉しかった様だ。